ピアノ調律師の基礎知識

 ピアノ調律師になるには


技術は五感を通じて体得するもので、理論や方法が理解できても技術を習得できたことにはなりません。職業としてピアノ調律師を目指すなら、実務経験豊富なプロのピアノ調律師に直接指導を受けましょう。
現在では、高校・大学卒業後に、ピアノメーカーの技術者養成所かピアノ調律科がある専門学校や音楽大学で技術指導を受けるのが一般的です。また、ピアノ工房やメンテナンス部門のあるピアノ販売会社などで見習い・修行から入るケースもあります。



就職してすぐは、従業員である以上、ピアノメンテナンス以外の仕事をすることも多く、営業販売や音楽教室などの業務を兼務することもあるようです。
一般的には楽器店や工房などで、ピアノ調律や修理部門の担当者として経験を積み、長年にわたり信頼と実績を重ねたのちピアノ調律師として契約することができます。


 学校・養成機関について

入学試験・適正など
ほとんどの専門学校・養成機関の入学試験において、高校を卒業していることと、同程度の学力を問う試験があります。
身体的な適正としては、スポーツ選手のように特別な身体能力は必要ありませんが、常に身体全体をつかう作業ですので健康面に不安のある方はおすすめできません。また作業は五感を通じてその能力を基礎から鍛え、精度を高めていくので、視力・聴力・脳の発達がピークをむかえる20歳をすぎると徐々に技術の習得が難しくなります。そのため入学に際して25歳以下など、一定の年齢制限を設けているところが多いようです。ほかには、親指小指でオクターブが容易にとどくこと、ピアノの両端(155cm)を両手でとどく体格はほしいところです。
性格的な適正としては繊細な作業から力を使う作業まであり、集中力と持続力が必要になります。そのため、根気強さや技術向上への探求心などが求められます。
またサービス業の側面もあり、依頼者の目線で考え話す力などコミュニケーション能力も必要になります。

学校の種類

ピアノメーカー
養成機関
製造メーカーがバックアップしていることから内容・設備とも充実し、長い歴史があります。卒業生はもちろん、それ以外のピアノ調律師も研修や試験などを通じて関わりがあることが多いようです。寮制をとっているのも特徴のひとつです。
大学 音楽大学で「ピアノ調律論」や「ピアノ構造論」などの履修科目はよくありますが、調律師養成を目的に、ピアノ調律実技の専科がある大学は、現在、国内では東京の国立音楽大学だけになります。
専修学校
専門学校
都道府県に認可されているのが専修学校で、その中で専門課程があるところが専門学校です。専門学校を卒業すると専門士の称号が得られます。ピアノ調律科だけでなくその他の楽器技術や音楽コースなどある専門学校が多いようです。
各種学校 都道府県に認可されていない学校で、塾やカルチャースクールと同じ扱いになります。学生割引の定期券や奨学金などがなく、公式な書類においては「学歴」としてあつかわれません。
どこの法人・組織が主催している学校かよく調べておきましょう。

学校選びのポイント
① 授業内容
 授業時間数が多いこと
 (最低1年以上、ほぼ毎日ピアノに向かい触れて授業を受けられる環境)
 実技・実習の授業時間を多く設けていること
② 講師陣の能力
 ピアノ調律師としての実務経験が豊富であること
 卒業後の就職活動のため、業界を通じて人脈が豊富であること
③ 設備
 生徒一人に対してピアノの台数(グランドピアノの台数)が充実していること
 修理作業場の設備(機械工具等)が充実していること
④ 過去の就職実績
 学校案内のパンフレットの記述だけでなく、就職先の会社の勤務条件や仕事内容など細かく調べておくことが大事です。できれば同じ学校の卒業生で5~10年以上働いている人から直接話を聞くことをおすすめします。

その他、卒業後でも技術研修や再就職の相談など積極的に応じる体制があるところがよいでしょう。


 就職について

学校・養成所卒業後
学校や養成所が斡旋する就職先は以下のような会社組織が多いようです。
① 楽器店
ピアノメーカーと販売契約を結んでいる独立したお店。楽器の販売がメインで付帯として音楽教室やピアノメンテナンス部門などがあるところです。株式会社・有限会社などの形態から個人経営のところまで様々で、全国的に系列店舗をもつ中小・大企業並みの会社も一部ありますが、地方の一拠点で活動している零細企業や個人経営の商店に近いところが数多くあるようです。
なかにはピアノ工房を設置して修理作業なども行っているところはありますが、ほとんどは外回りの顧客に調律訪問をする事を主な業務とし、そのほか販売営業や音楽教室の補助、事務・雑務など多岐にわたりピアノ技術以外の仕事を兼務することがよくあります。
② ピアノ調律事務所
オーナーも含めピアノ調律師だけで成り立っている事業所が多いようです。工房なども設備されていることも多く、専門家の集団ではありますが、正社員として雇用されることは少ないようです。契約社員・嘱託・歩合制など自分で顧客を増やしていかなければ調律だけで十分な所得の確保はむつかしい場合もあります。もちろんピアノ販売なども兼業することも少なくありません。
③ ピアノ工房
中古ピアノの再生やピアノ本体を預かる修理などをするところ。ピアノ工房だけで独立した会社もあれば、楽器店が出資して独立採算で経営しているところなどもあります。調律以外の修理作業もおおく、技術向上に適した環境のところもありますが、外装の磨きや塗装、買取営業だけに終始するところもあるなど、雇用形態も含めその会社の経営方針により様々です。
④ ピアノ製造メーカー
とりわけメーカー養成所修了後の就職先ですが、ピアノ製造部門で働くことはあまりなく、ほとんどは系列会社または直営による地方の販売店やメンテナンス専門の事業所や工房へ配置されることになるでしょう。販売店であればの①の楽器店に所属する社員と同じような業務形態になります。メンテナンスの事業所であれば③の工房のような形態のところもあるようです。

待遇
卒業後に就職する楽器店やピアノ工房は一部をのぞき、零細企業(従業員10人未満)の社員またはそれと同程度の待遇であることが多いようです。
給与が少ないだけではなく、休日数も少なかったり、休日出勤・サービス残業があったりするところも多く、会社によっては、福利厚生、就業規則の不備やボーナスがでないところなどもあります。よく調べておきましょう。
最初から公務員や一般企業を基準とした給与・福利厚生・職場環境を想像される方には、かなり厳しい環境になるでしょう。最初の10年は修行期間と思って、多少のことは犠牲にするというくらいの強い覚悟と体力を持つことが必要になります。



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 参考資料
 ピアノの製造番号と年式
 日本のメーカーとブランド
 ピアノ発達史年表
 階名対照表
 平均律振動数表






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