ピアノ調律師の基礎知識

 材料

楽器は木の芸術品といわれていますが、ピアノにおいては使用される素材として木材のほか、金属類、皮革・繊維類、合成樹脂、接着剤、塗料などがあります。
また各素材においても木材では多種多様な合板材、金属では合金、合成樹脂では強化プラスチックをはじめ近年では天然素材のものだけでなく人工的な素材が数多く開発され、ピアノの各部にも使用されるようになってきています。



 木材

ピアノには大量の木材が使用されています。また用途によってその種類も多く、その木材の特性に応じて適材適所に使われています。古いピアノであれば日本製ピアノのほとんどが国産の木材で賄われてきましたが、ピアノが大量生産へと移行していくにつれて、輸入材への依存度が高まってきました。また安価で手に入るというコストカットの面だけでなく、外装の化粧材など銘木をもとめて、世界各地から輸入することもあります。
 →木材


 金属類

分類 材料 用途
高炭素鋼 ミュージックワイヤー
硬鋼(硬鉄) チューニングピン、スプリング類(ペダル用など)
軟鋼(軟鉄) スクリュー類(アクション)、各種ボルト、ワイヤー類(アクション)、ヒッチピン、駒ピン、ダンパーロッド、キャプスタンワイヤーなど
鋳鉄(鋳物) 鉄骨、ブラケットなど
電気軟銅 低音弦
黄銅 センターピン、ダンパースプーン、キービン類、アグラフ、蝶番など
燐青銅 スプリング類(バット、ジャック、ダンパー、レペティションレバーなど)
アルミニウム アルミニウム合金 センターレール、ハンマーレール、ブラケットなど
鍵盤、ダンパー(GP)


 皮革・繊維類

種類 性質 用途
フェルト 羊毛を縮絨(しゅくじゅう)したもので、比重が少なく弾力性があり、クッションを必要とする部位の雑音防止に適する。 ハンマーフェルト
ダンパーフェルト
他アクション各部
デコレーション
ニードルフェルト 化学繊維の中で弾力性に富むアクリル繊維をニードルパンチング機でフェルト状にしたもの キーレール
パンチング類
クロス 羊毛を織ったもので金属と木部の接触する部分に使用し雑音の防止をする。 ハンマーレール
キーレール
パンチング類
ブッシングクロス 羊毛繊維を織物にしてフェルト化したもの、耐摩耗性と厚みの精度が高く、また長さの方向に裂きやすい 鍵盤ブッシングクロス
フレンジブッシングクロス
スキン 獣皮または合成皮革で、極度の摩擦と逆にすべりも必要な部分に使用する。 キャッチャースキン
バットスキン
ローラー


 合成樹脂
合成樹脂とは一般的にプラスチックと呼ばれる素材です。
木材や金属にかわる新しい素材としてアクション部品の一部や、鍵盤上面、また外装・内装にも使用されています。
 均質で安定性がある、軽量で耐久性がある、寸度精度が高い、腐食しない、などの長所があり、短所としては溶剤に溶けやすい、木材のように接着・埋め木などの修理作業が困難という側面があります。また吸湿性がないという特徴は使用される部品によっては長所にも短所にもなります。
 一般にプラスチックといっても様々な種類があり、ピアノに使用されるプラスチック素材もその用途により使い分けられています。

種類 特徴 用途
ポリアセタール樹脂 耐摩耗性に優れ、繰り返しによる疲労が少ない。ただし接着は不能。 アクション部品
ABS樹脂 寸土的精度が出しやすく、接着も良好 アクション部品
フェノール樹脂   黒鍵
アクリル樹脂   白鍵
ナイロン 駆動音が低く、摩擦摩耗が少ない 各部メタル部分

 接着剤

種類 性質・用途
膠(にかわ) 獣や魚類の、皮や骨などをよく煮て、その液をこして乾かし、固めたもので、楽器製作に古くから使われています。
水溶接着剤 主剤は酢酸ビニルエマルジョンで、一般に「木工用ボンド」などで知られています。木材の接着に使用され、水溶性のため水に溶けやすい特徴があります。
ゴム系接着剤 弾力性があり、柔軟性のある接着剤で、木材にも使用できますが、金属類と繊維類の接着などによく使われています。
シアノアクリル系 「アロンアルファ」などで知られている瞬間接着剤です。ピアノ製作過程では使われていませんが修理など二次的な作業において使用されることがあります。
ホットメルト ヒーターなどで溶かすことにより接着します。乾燥時間が不要で大抵のもに接着できますが、比較的高価になります。
新しい鍵盤のキーブッシングクロスなどに使用されています。
接着テープ とりわけ新しいピアノのハンマーレールクロスなどおもに繊維類と金属面の接着に両面テープなどが使用されています。 



 ピアノ構造論
1.材料
 木材
 金属
 皮革・繊維
 合成樹脂
 接着剤
 
2.機構
 2-1 発音機構
  響鳴機構
  抗張機構
   弦(ミュージックワイヤー)

 2-2 打弦機構
  アップライトピアノ
   ハンマー
   ウイペン
   ダンパー
   鍵盤
  グランドピアノ
   ハンマー
   サポート
   ダンパー
   鍵盤

 2-3 ペダル機構
  アップライトピアノ
  グランドピアノ
 
 2-4 外装



 理論と作業工程
 第1章 ピアノ概論
 1 音楽の知識
 楽典
 西洋音楽史
 楽曲
 作曲家
 音楽産業
 2 楽器の知識
 楽器の分類
 ピアノの種類
 ピアノ発達史
 世界各国のピアノ
 使用と保守管理

 第2章 ピアノ構造論
 材料
 機構

 第3章 ピアノ調律論
 音の性質
 ピッチ
 平均律と各種音律
 検査方法
 カーブ
 調律音程

 第4章 ピアノ整調論
 手順及び寸度
 関連工程
 症状別対処法
 機能点検

 第5章 ピアノ修理作業
 張弦
 アクションの修理
 鍵盤の修理
 ペダルの修理






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