ピアノ調律師の基礎知識

 音階と調

 音階の種類

クラシック音楽において音階は全音階と半音階にわかれ、全音階は1オクターブに7つの音が含まれる音階をさします。半音階は隣り合う音程がすべて半音で構成され12平均律においては1オクターブ12音の1種類のみになります。そのため通常、音階の種類といえば全音階を指すことが多いようです。メロディーを奏でるのに必要な主な音階(全音階)として長音階と短音階があります。

長音階 (メジャースケール)
3・4音間と7・8音間が半音になり、その他が全音で構成され、明るい感じの旋律になるものを長音階(自然的長音階)といい、例えばハ(C)音を主音とした長音階をハ長調(Cメジャー)といいます。この他にも和声的長音階、旋律的長音階などがあります。

短音階 (マイナースケール)
2・3音間と5・6音間が半音になり、その他が全音で構成され、暗い感じの旋律になるものを短音階(自然的短音階)といい、例えばイ(A)音を主音とした短音階をイ短調(Aマイナー)といいます。 この他にも和声的短音階、旋律的短音階などあり、種類によっては上行と下行で音階が異なるものがあります。

※この他にも1オクターブに5音、6音、8音といった音階もあり、ジャズやポピュラー、民族音楽においては多数の音階の種類が存在します。


 長調と短調

旋律(メロディー)や和音(ハーモニー)が、中心音と関連付けられつつ構成されているとき、その音楽は調性(トーナリティー) があるといいます。伝統的な西洋音楽において、調性のある音組織を調(ちょう)と呼びます。
狭義には、伝統的な西洋音楽において、全音階の音から構成される長調と短調の2つの調が知られ、それぞれ全音階のドの音とラの音が中心音になります(長調と短調の場合には、中心音を主音と呼びます)。つまり、長音階を用いる調が長調であり、短音階を用いる調が短調ということです。
曲中、必ずしも調は一定ではなく、転調と呼ばれる手法によって、一時的に他の調に移行することがありますが、20世紀に入るまで西洋音楽においては、調性を保持するため、必ず曲の最初の調と最後の調が同じであるか、同じ主音を持つ長調と短調の関係にある調(同主調 )となていました。

長調 (メジャー)
長調の楽曲は主に「明るい」「楽しい」といったイメージを持ちます。よく聞く「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」は長調の代表格で「ハ長調(英:C-major、独:C-dur)」です。ここでは、13種類(異名同調があるため実質12種類)の長調を紹介します。
ハ長調とはハ音を主音とする長音階のことです。
調号とは五線譜の棒ごとに表記する♯(シャープ)、♭(フラット)のことです。ハ長調は調号をつけません。

長調の種類と調号の数一覧
日本語 英語 ドイツ語 調号
 ハ長調  C major  C dur  なし
 ト長調  G major  G dur  ♯×1
 ニ長調  D major  D dur  ♯×2
 イ長調  A major  A dur  ♯×3
 ホ長調  E major  E dur  ♯×4
 ロ長調  B major  H dur  ♯×5
 嬰ヘ長調  F♯ major  Fes dur  ♯×6
 ヘ長調  F major  F dur  ♭×1
 変ロ長調  B♭major  B dur  ♭×2
 変ホ長調  E♭major  Es dur  ♭×3
 変イ長調  A♭major  As dur  ♭×4
 変ニ長調  D♭major  Des dur  ♭×5
 変ト長調  G♭major  Ges dur  ♭×6

短調 (マイナー)
短調の楽曲は主に「暗い」「悲しい」「重い」といったイメージを持ちます。ここでは、13種類(異名同調があるので実質12種類)の短調を紹介します。

短調の種類と調号の数一覧
日本語 英語 ドイツ語 調号
 イ短調  A minor  A moll  なし
 ホ短調  E minor  E moll  ♯×1
 ロ短調  B minor  H moll  ♯×2
 嬰ヘ短調  F♯ minor  Fis moll  ♯×3
 嬰ハ短調  C♯ minor  Cis moll  ♯×4
 嬰ト短調  G♯ minor  Gis moll  ♯×5
 嬰ニ短調  D♯ minor  Dis moll  ♯×6
 ニ短調  D minor  D moll  ♭×1
 ト短調  G minor  G moll  ♭×2
 ハ短調  C minor  C moll  ♭×3
 ヘ短調  F minor  F moll  ♭×4
 変ロ短調  B♭minor  B moll  ♭×5
 変ホ短調  E♭ minor  Es moll  ♭×6

長音階(長調)と短音階(短調)の違いに種類の数と上行と下行の関係があります。
長音階は上行と下行が同じ音になりまが、短音階は3種類あり、なかには上行・下行が異なるものがあります。

短音階の種類
自然的短音階 ナチュラル・マイナー・スケール ⅢとⅥとⅦが♭(半音下がる)。
和声的短音階 ハーモニック・マイナー・スケール ⅢとⅥが♭(半音下がる)。
旋律的短音階 メロディック・マイナー・スケール 上行はⅢが♭(半音下がる)。
下行はⅦとⅥとⅢが
♭(半音下がる)。


 平行調と同主調

平行調 
平行調とは調号が同じでハ長調とイ短調の関係にあたります。
・長音階の第6音を主音とした短音階が平行調です。
・短音階の第3音を主音として長音階が平行調です。

平行調の関係一覧
長調 短調 調号
 ハ長調  イ短調  なし
 ト長調  ホ短調  ♯×1
 ニ長調  ロ短調  ♯×2
 イ長調  嬰へ短調  ♯×3
 ホ長調  嬰ハ短調  ♯×4
 ロ長調  嬰ト短調  ♯×5
 嬰ヘ長調  嬰ニ短調  ♯×6
 嬰ハ長調  嬰イ短調  ♯×7
 ヘ長調  ニ短調  ♭×1
 変ロ長調  ト短調  ♭×2
 変ホ長調  ハ短調  ♭×3
 変イ長調  ヘ短調  ♭×4
 変ニ長調  変ロ短調  ♭×5
 変ト長調  変ホ短調  ♭×6
 変ハ長調  変イ短調  ♭×7

同主調
同主調とは音階のはじめの音、つまり主音が同じ関係でハ長調とハ短調の関係です。


 主音・属音・下属音・導音

音階の上にある音にはそれぞれ役割があります。
主音
その調の完全1度の音です。ハ長調(Cメジャー)の場合はハ音(C)、つまり「ド」になります。
属音
主音より完全5度上の音で主音へ進む性質をもち、色彩感の強い音です。
ハ長調(Cメジャー)の場合はト音(G)、つまり「ソ」になります。
下属音
主音より完全5度下(完全4度上)の音で、転調または終止のとき、属音とは違った終止感を与えます。ハ長調(Cメジャー)の場合はヘ音(F)、つまり「ファ」になります。
導音
主音より長7度上の音で、主音へ進もうとする性質を持つ音です。

各調の主音・属音・下属音・導音
調 主音 属音 下属音 導音
ハ長調 C G F B
ト長調 G D C F♯
ニ長調 D A G C♯
イ長調 A E D G♯
ホ長調 E B A D♯
ロ長調 B F♯ E A♯
嬰ヘ長調 F♯ C♯ B E♯
ヘ長調 F C B♭ E
変ロ長調 B♭ F E♭ A
変ホ長調 E♭ B♭ A♭ D
変イ長調 A♭ E♭ D♭ G
変ニ長調 D♭ A♭ G♭ C
変ト長調 G♭ D♭ C♭ F




 理論と作業工程
 第1章 ピアノ概論
 1 音楽の知識
 楽典
 西洋音楽史
 楽曲
 作曲家
 音楽産業
 2 楽器の知識
 楽器の分類
 ピアノの種類
 ピアノ発達史
 世界各国のピアノ
 使用と保守管理

 第2章 ピアノ構造論
 機構と材料
 発音機構
 打弦機構
 ペダル機構
 外装

 第3章 ピアノ調律論
 音の性質
 ピッチ
 平均律と各種音律
 検査方法
 張力計算
 カーブ
 調律音程

 第4章 ピアノ整調論
 手順及び寸度
 関連工程
 症状別対処法
 機能点検

 第5章 ピアノ修理作業
 発音機構
 打弦機構
 ペダル機構





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