ピアノ調律師の基礎知識

 手順及び寸度 / ピアノ整調論

 アップライトピアノの整調

1. ネジ類増締め
・アクションを外してウイペン・ダンパーのフレンジスクリュー、バットプレートのスクリューを増締めする。
・アクションを本体に取り付けハンマーの間隔を見ながらバットフレンジフレンジスクリューを増締めする。

2. 鍵盤調整
・フロントブッシングのガタ及びスティックを点検する。
・バランスブッシングのガタ及びスティックを点検する。
・バランスホールのガタ及びスティックを点検する。

3. 打弦距離調整
弦から静止位置のハンマーの先端まで47±1㎜になるようにハンマーレールのS字金具のスクリューをゆるめて調整する。調整できないタイプはハンマーレールクッションフェルトの厚さを調整する

4. ハンマー走り・ねじれ・弦合わせ
走り
センターピンが正面を向くようにフレンジのセンターピンとあたる側に走り紙を貼る。
ねじれ
弦に対してハンマーが直角にあたっていないもの。シャンクプライヤーでシャンクをあたためて正しい方向にハンマーヘッドをねじる。
弦合わせ
ハンマーヘッドの中心と一音の弦の間隔の中心が合うようにバットフレンジのネジをゆるめてハンマーを合わせネジを締める。

5. ウイペン走り・傾き
走り
ウイペンの間隔を見て、フレンジの裏に走り紙を貼り揃える。
傾き
ウイペンが傾き、ジャックトップとバットスキンがずれている場合はフレンジの底(上部)に走り紙を貼り調整する。

6. 鍵盤の傾き・間隔
傾き
鍵盤に定規をあて、傾きがある場合はバランスピンを叩いて修正する。
間隔
キースペーサーでフロントピンを曲げ間隔を揃える。

7. キャプスタンワイヤー調整
左右位置調整
正面から見てウイペンヒールクロスの中心とキャプスタンボタンの中心が一致するようにワイヤープライヤーでキャプスタンワイヤーを曲げて調整する。
前後位置
横からみてウイペンヒールクロスの前後の幅の中心とキャプスタンボタンの中心が一致するようワイヤーベンダーなどでキャプスタンワイヤーを曲げて調整する。

8. ロストモーション
静止状態でジャックトップとバットスキン、及びハンマーレールクロスとシャンクが接している状態になるようにキャプスタンドライバーでキャプスタンボタンを調整する。

9. 鍵盤高さ調整(ならし)
白鍵は棚板より64㎜、または口棒より22㎜、黒鍵は白鍵より12㎜になるようバランスペーパーパンチングの厚さ・量を加減し、ならし定規でみて全体的に揃うよう調整する。

10. 鍵盤深さ調整(あがき)
鍵盤を押さ始めてから沈むまでの量を、フロントパンチングクロスの厚さ・量を加減して10±0.5㎜に揃え調整する。

11. レットオフ(接近)
鍵盤をゆっくり押さえていった時にハンマーヘッドが弦にもっとも接近する点を、最低音 3㎜、中音 2.5㎜、最高音 2㎜になるようレギュレーティングドライバーでレギュレーティングスクリューを回して調整する。

12. バックチェック調整
向き
上からみてキャッチャーと平行になるようバックチェックを回転させ調整する。
角度
横からみてキャッチャースキンがバックチェックフェルトに全面あたりバックチェッキングするようバックチェックの根元のワイヤーを前後に調整する。
左右位置
正面からみてバックチェッキングした際、バックチェックにキャッチャーがはみ出ないようバックチェックワイヤーをワイヤープライヤーで左右に曲げ調整する。
前後調整
キャッチャースキンとの間が約10㎜になるよう曲げて調整する。

13 働き・アフタータッチ調整
一鍵ずつ働き(アフタータッチ)を点検し過不足があればキャプスタン前後、ロストモーション、ならし、あがき、レットオフ、打弦距離などを再調整して揃える。

14. バックストップ(ボロ)
セクション両端の鍵盤で打鍵した時(バックチェッキング)にハンマーの先端から弦まで15㎜になるように調整し、数鍵(5~8鍵)を同時に同じ力で押さえて点検する。バックストップが全域揃うように、キャプスタン前後、ならし、あがき、ロストモーション、バックテェック前後など各工程を全体的に見直して再調整する。

15. ジャックストップレール調整
黒鍵を押さえ切った状態でジャックの前面とストップレールの隙間が1~1.5㎜になるよう左右スクリューをまわして調整する。

16. ダンパー総上げ
ダンパーペダルを踏んだときに一斉にダンパーが弦から離れペダルを戻した時に一斉に止音するようにダンパーレギュレーターでダンパーワイヤーを曲げて調整する。

17. スプーン掛け
ハンマーが打弦距離の2/5(YAMAHA)又は、1/2(KAWAI)進んだときにダンパーが始動するようにスプーンベンダーでスプーンを曲げて調整する。

18. ダンパーストップレール調整
ペダルを踏み切った状態でダンパーワイヤーとストップレールの隙間が2~3㎜になるようレールとブラケットの隙間を厚紙で調整する。

19. ペダル調整
ソフトペダル
カラ調整:ハンマーレールのソフトアングルと突上棒の隙間が1~2㎜になるようペダル吊り金具のナットをまわして調整する。
運動量調整:ペダル窓下のクロスの厚さを変えてペダルを踏み込んだ時にハンマーが打弦距離の約1/3前にでるように調整する。
ダンパーペダル
カラ調整:ダンパーロッドアングルと突上棒との間が1~2㎜になるようペダル吊り金具のナットをまわして調整する。
運動量調整:鍵盤を押さえ込んだ時と、ペダルを踏み込んだ時のダンパーの上がる量と同じになるようにるようにペダル窓下のクロスの厚さを変えて調整する。
マフラーペダル
通常時はハンマーの上面がマフラーに触れないように、使用時にはハンマーと弦の間にマフラーが全てのセクションが入るように調整する。
調整箇所はメーカー・機種により異なる。

20. ブライドルワイヤー位置調整
左右位置
バックチェックワイヤーとの間隔を揃える。
前後位置
ソフトペダルを踏み込んだ時にウイペンをつり上げず、且つブライドルテープが張った状態になるように調整する。

21. 最終点検
全鍵盤のタッチが均一になっているかチェック、雑音・スティックなど点検、再度、各工程の基準寸法を確認する。





 理論と作業工程
 第1章 ピアノ概論
 1 音楽の知識
 楽典
 西洋音楽史
 楽曲
 作曲家
 音楽産業
 2 楽器の知識
 楽器の分類
 ピアノの種類
 ピアノ発達史
 世界各国のピアノ
 使用と保守管理

 第2章 ピアノ構造論
 機構と材料
 発音機構
 打弦機構
 ペダル機構
 外装

 第3章 ピアノ調律論
 音の性質
 ピッチ
 平均律と各種音律
 検査方法
 張力計算
 カーブ
 調律音程

 第4章 ピアノ整調論
 手順及び寸度
 関連工程
 症状別対処法
 機能点検

 第5章 ピアノ修理作業
 発音機構
 打弦機構
 ペダル機構





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