ピアノ調律師の基礎知識

 機構と材料 / ピアノ構造論

ピアノの機構
ピアノは発音機構、打弦機構、ペダル機構及び外装からなり、それらは次のような部分によって構成されている。

発音機構(響鳴抗張機構)
支柱、打廻し、響板、駒、ピン板、鉄骨、弦、チューニングピン、ヒッチピンなど

打鍵機構
アクション、鍵盤、キーフレームなど

ペダル機構
ペダル、吊金具、天秤、天秤支え、スプリング、突上棒

外装
親板、屋根、前屋根、鍵盤蓋、奥丸、腕木、口棒、棚板、棚受柱、前土台、妻土台、底板、拍子木、蝶番、キャスターなど

■ ピアノに使用される材料
ピアノに使用される素材として、木材、金属、繊維、皮革、プラスチック、塗料、接着剤がある。

 木材

①木材の用語
木口(こぐち)
木材を横に切断したときの断面の箇所
木表(きおもて)
1本の木を板にした場合、断面の年輪を見て木の外側となる面のこと
木裏
木表の裏側で、断面の年輪を見て木の内側となる面のこと
板目(いため)
丸太の中心からずれて挽くと、年輪が平行ではなく山形や筍形の木目が現れ、これを板目という。
柾目(まさめ)
丸太の中心に向かって挽いたとに現れる年輪が平行な木目を柾目という。
夏目
木目の色が薄くなっているところ
冬目
木目の色濃くなっているところ
堅木
比重の重い硬質の材
四方柾(しほうまさ)
板目がなく四面に柾目の出ているもの
あて
冬目が幅広く堅いもの
やにつぼ
木材の中にやに(樹脂)の溜まっているもの

②木材の特徴と性質
1.長所
・高級感がある(見た目が美しい)
・加工しやすい(切断、接着、ネジ止め)
・熱を伝えにくい
・吸湿性が高い
・軽くて強い
・熱によって強度が低下しない。
・比較的安価
2.短所
・湿度によって膨張、収縮する(反り・狂い・割れ)
・虫や菌におかされやすい。
・燃えやすい

③ピアノに使用される木材の種類
名称 産地 用途
エゾ松 北海道 響板、響棒、鍵盤
トウヒ 北海道 響板、響棒
スプルース アラスカ、他 響板、響棒、鍵盤
カエデ 国内全域 ピン板、駒、アクション部品、他
ブナ 国内全域 支柱、打廻し、ピン板、駒、桁、他
ニレ 北海道 支柱、土台
タモ 北海道 支柱、土台
シデ 北海道 アクション部品
ラワン 東南アジア 合板材料
マコーレ アフリカ 合板化粧材
ウォルナット アメリカ 合板化粧材
ローズウッド インド 合板化粧材
サペリ アフリカ 合板化粧材
チーク 東南アジア 合板化粧材
マホガニー   合板化粧材

④木材の乾燥
製品化する前に木を狂わせてしまう。
天然乾燥
製材された材木を野積みし、乾燥させる。
30~50%
人工乾燥
乾燥室に入れて乾燥させる。
ピアノに使用される木材の含水率は3~14%で、部品や使用箇所により異なり、代表的な部品は
ピン板 10%以下
響板 6%以下
支柱・外装 14%以下
とされている。

⑤合板
合板とは、薄い木材を厚みの方向に2枚以上重ね合わせて接着した板材であり、その特徴として
・広い面積の板が得られる
・原木から製品に至るまでの加工時間が短い
・原木と製品との間の歩止りがよい
・木材のもつ異方性が解消される
・良材が容易に得られる。
などがある。

種類 構成 用途
ベニアコア 単板だけを交互に直角の方向にして基数枚重ね合わせて接着したもの 上前板
下前板、他
ランバーコア 芯に単板以外のコアを入れた合板 GP大屋根、他
単板積層材 単板繊維を同一方向に積層して接着した合板 支柱
成型合板 ベニアコアや積層材の単板構成を曲面をもつ部分に応用した合板 鍵盤蓋
奥丸
GP側板
銘木合板 チーク、ウォルナット、マホガニー等の銘木を薄い板にして化粧貼りした合板 ケース化粧材
パーティクルボード 廃材などあらゆる木材を小片にし、これを接着剤で固化させ成板したもの 親板の芯材
ファイバーボード 木材の直物繊維を精製し固めたもの  

 金属

分類 材料 用途
高炭素鋼 ミュージックワイヤー
硬鋼(硬鉄) チューニングピン、スプリング類(ペダル用など)
軟鋼(軟鉄) スクリュー類(アクション)、各種ボルト、ワイヤー類(アクション)、ヒッチピン、駒ピン、ダンパーロッド、キャプスタンワイヤー、他
鋳鉄(鋳物) 鉄骨、ブラケット
電気軟銅 低音弦
黄銅 センターピン、ダンパースプーン、キービン類、アグラフ、蝶番、他
燐青銅 スプリング(バット、ジャック、ダンパー、レペティションレバー)
アルミニウム アルミニウム合金 センターレール、ハンマーレール、ブラケット、
鍵盤、ダンパー(GP)

 繊維・皮革

種類 性質 用途
フェルト 羊毛を縮絨(しゅくじゅう)したもので、比重が少なく弾力性があり、クッションを必要とする部位の雑音防止に適する。 ハンマーフェルト
ダンパーフェルト
他アクション各部
デコレーション
ニードルフェルト 化学繊維の中で弾力性に富むアクリル繊維をニードルパンチング機でフェルト状にしたもの キーレール
パンチング類
クロス 羊毛を織ったもので金属と木部の接触する部分に使用し雑音の防止をする。 ハンマーレール
キーレール
パンチング類
ブッシングクロス 羊毛繊維を織物にしてフェルト化したもの、耐摩耗性と厚みの精度が高く、また長さの方向に裂きやすい 鍵盤ブッシングクロス、フレンジブッシングクロス
スキン 獣皮または合成皮革で、極度の摩擦と逆にすべりも必要な部分に使用する。 キャッチャースキン
バットスキン
ローラー


 合成樹脂(プラスチック)

合成樹脂では鍵盤上面素材が一般的です。
他にも素材の特性にあった部品につかわれます。
種類 特徴 用途
ポリアセタール樹脂 耐摩耗性に優れ、繰り返しによる疲労が少ない。ただし接着は不能。 アクション部品
ABS樹脂 寸土的精度が出しやすく、接着も良好 アクション部品
フェノール樹脂   黒鍵
アクリツ樹脂   白鍵
ナイロン 駆動音が低く、摩擦摩耗が少ない 各部メタル部分

 接着剤

・膠(ニカワ)
・酢酸ビニルエマルジョン型
・ユリア樹脂
・酢酸エチル
・ゴム型




 理論と作業工程
 第1章 ピアノ概論
 1 音楽の知識
 楽典
 西洋音楽史
 楽曲
 作曲家
 音楽産業
 2 楽器の知識
 楽器の分類
 ピアノの種類
 ピアノ発達史
 世界各国のピアノ
 使用と保守管理

 第2章 ピアノ構造論
 機構と材料
 発音機構
 打弦機構
 ペダル機構
 外装

 第3章 ピアノ調律論
 音の性質
 ピッチ
 平均律と各種音律
 検査方法
 張力計算
 カーブ
 調律音程

 第4章 ピアノ整調論
 手順及び寸度
 関連工程
 症状別対処法
 機能点検

 第5章 ピアノ修理作業
 発音機構
 打弦機構
 ペダル機構







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