ピアノ調律師の基礎知識

 発音機構 / ピアノ構造論

弦 (ミュージックワイヤー) 
一般的に「ピアノ線」と呼ばれる工業用のものとは質も規格も異なり、楽器としての要素を備えたものをミュージクワイヤーと呼ばれ、鋼鉄線を引き伸ばすことによって作られています。このワイヤーに、錆止めのため油を使用するとがありますが、塗りすぎないよう注意が必要です。一台のピアノにかかる弦の総張力は約20トンにも及びます。
材料:高炭素鋼
条件
・材質が均一であること。
・抗張力が高く、弾力性に富んでいること。
・表面研磨が完全で傷がないこと。
・組織の中に不純物を含まないこと。
・断面が厳密に真円で、太さが均等であること。
・ねじれ等ないこと。

ワイヤーの太さ
通常日本国内のピアノに用いられる弦の太さは13番から25番まであり、13番から19番まではその番手に半番(0.5番)ごとの太さが、20番以降は1番手ごとの太さが設けられています。1番ごとの太さの差は0.050㎜、半番の差は0.025㎜になります。
弦の番手表はこちら → 張弦 (発音機構/第5章 ピアノ修理)

胴巻線
低音部の弦は、その質量を増すため鋼線であるミュージックワイヤーのまわりに銅線が巻かれていて、これを巻線と呼ばれています。巻線に用いられる銅線には良質の電気軟銅が使用され、太さは0.2~1.9㎜の中から必要に応じて選ばれます。
巻線には一重巻と二重巻のものとがあり、大きい質量を必要とする最低音付近では二重巻のものが使用されることが多い。またこの巻線に対して通常の銅線が巻かれていないワイヤーを芯線呼ぶことがあります。
チューニングピン
ヒッチピンとともに、弦張力を支えている。
また調律に際しては、これを回転して弦張力を加減することによって音高が調節される。形状は6.9㎜の直径をもつ長さ64㎜の丸棒状で頭部はチューニングハンマーのチップに適合するよう断面を正方形とし側面はややテーパーがつけられている。頭部には弦を挿入するための小穴があけられており、またピン板に植え込まれる部分には細かい螺旋溝が施されている。
材質:硬鉄、弦張力が直接かかるのでかなり硬いものを使用。
大きさ:新品は直径(6.9㎜)長さ(64㎜)が一般的

※チューニングピンにはサイズが数種類ありオーバーホールなどの修理の際には太いチューニングピンが打ち込まれる。又、メーカーによってもサイズが違うことがあり、これに対応してチューニングハンマーのチップにも数種類ある。

ピン板 (ピンブロック)
材質:ブナ・カエデ
条件:チューニングピンを保持するための粘り(ピントルク)、張力に耐える強度が必要。
役割:チューニングピンにトルクを与え、弦張力を支える。
形状:通常3枚の板を木目が直角になるように貼り合わせた合板。

ベアリング(アッパーブリッジ又は、上駒)
チューニングピンプレート上の下部に位置してV字型の断面をし、その頂点で弦を保持して振動弦長の一端をなしている。

支柱 (ポスト)
材質: ニレ・タモ・ブナ
柾目がとりやすく木口方向からの圧力に強いニレが一般的である。
条件:柾目、弦張力やピアノの他の部品を支える耐久力が必要
役割:弦張力を支える。外装が取り付けられる土台。

鉄骨 (フレーム)
材質:鋳鉄
役割:弦張力を支える
チューニングピンプレート
チューニングピンが打ち込まれる。通常ピンと鉄骨の間にはピンブッシュが入れられる。
 
ヒッチピンプレート
ヒッチピンが打ち込まれる

ヒッチピン
軟鉄でできた真円のピン。堅いと弦がこすれて切れてしまうので軟鉄が使われ、張力をかけた時に弦を喰いこませて左右の弦の張力がうつらないようにする。

ピン板かかえ(ピン板受け)
鉄骨の裏に出ている桟状のもの。ピン板の底面がこれにあたり、弦張力を受け止めている。

アッパーブリッジ
振動弦長の上端でV字型の形状をしている。
プレッシャバーと共に弦を前後に曲げる。
上駒、Vバーとも呼ばれる

プレッシャーバー(ワイヤー押さえ)
材質:真鍮、軟鉄。
堅いものだと弦がこすれて切れてしまう。
役割:アッパーブリッジと共にダウンベアリングをかけ振動をくぎる。半円状の頂点で弦を押さえる

響板 (サウンドボード)
響板にはその表面に駒が、また裏面には響棒が取り付けられており、弦の振動はこれらを通して敏感に響板全体に伝えられる。響板は振動を増幅し拡散させるが、響板自体の振動特性も関与することころが多い。響板は約10㎝~15㎝の幅で、隣り合うそれぞれが厳密に均質な柾目の板をはぎ合わせて一枚にしたもので、6.5㎜~9.5㎜くらいの厚さのものが多く、通常、高音域がやや厚く、低音域がやや薄くなるように仕上げられている。

材質: スプルース・トウヒ・エゾ松
比重が軽く、弾力があり柔らかい。(音の増幅に適している)。スプルースは木目が広い、色が薄い。エゾ松は木目がせまい、色が濃い。
条件:均質な柾目の板であること。

響棒 (リブ)
材質:スプルース・エゾ松
条件:響板と同質のものであること
形状:響板の振動を妨げないよう両端が削られている。
役割:弦の圧力に耐える。響板を接着する時にクラウンをつける。

駒 (ブリッジ) 
材質:ブナ・カエデ
条件:柾目、弦のサイドベアリングに耐える強度をもつ
役割:弦の振動を響板に伝える。振動弦張の一端
形状:駒ピンが上下左右に対称になるよう打ち込まれている。
長駒
中高音部に用いられる
通常2本の木が継ぎ合わせてある。
最高音部は響板への伝達を良くし(点に近い形で伝える)又、響板の面積を広くとるために響板との接着面が少し削りとられている。
短駒
低音部に用いられ吊り駒になっている。
吊り駒・・低音部の振動弦張を長くとりなおかつ響板への接着面が響板の端にならないようにするため。




 理論と作業工程
 第1章 ピアノ概論
 1 音楽の知識
 楽典
 西洋音楽史
 楽曲
 作曲家
 音楽産業
 2 楽器の知識
 楽器の分類
 ピアノの種類
 ピアノ発達史
 世界各国のピアノ
 使用と保守管理

 第2章 ピアノ構造論
 機構と材料
 発音機構
 打弦機構
 ペダル機構
 外装

 第3章 ピアノ調律論
 音の性質
 ピッチ
 平均律と各種音律
 検査方法
 張力計算
 カーブ
 調律音程

 第4章 ピアノ整調論
 手順及び寸度
 関連工程
 症状別対処法
 機能点検

 第5章 ピアノ修理作業
 発音機構
 打弦機構
 ペダル機構







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